受益権の取得
信託行為の定めにより受益者となるべき者として指定された者(受益者指定権等の行使により受益者又は変更後の受益者として指定された者を含みます。)は、当然に受益権を取得します。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによります。
受託者は、受益者となるべき者として指定された者が受益権を取得したことを知らないときは、その者に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければなりません。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによります。
受益者指定権等
受益者を指定し、又はこれを変更する権利を有する者の定めのある信託においては、受益者指定権等は、受託者に対する意思表示によって行使しますが、受益者指定権等は、遺言によって行使することもできます。
遺言によって受益者指定権等が行使された場合において、受託者がこれを知らないときは、これにより受益者となったことをもって当該受託者に対抗することができません。
受託者は、受益者を変更する権利が行使されたことにより受益者であった者がその受益権を失ったときは、その者に対し、遅滞なく、その旨を通知しなければなりません。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによります。
受益者指定権等は、相続によって承継されません。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによります。
受益者指定権等を有する者が受託者である場合には、その権利行使は、「受益者となるべき者」に対する意志表示によって行います。
委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例
次の信託においては、委託者は、受益者を変更する権利を有します。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによります。
一 委託者の死亡の時に受益者となるべき者として指定された者が受益権を取得する旨の定めのある信託
二 委託者の死亡の時以後に受益者が信託財産に係る給付を受ける旨の定めのある信託
これらの受益者は、委託者が死亡するまでは、受益者としての権利を有しません。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによります。
受益者の死亡により他の者が新たに受益権を取得する旨の定めのある信託の特例
受益者の死亡により、当該受益者の有する受益権が消滅し、他の者が新たな受益権を取得する旨の定め(受益者の死亡により順次他の者が受益権を取得する旨の定めを含む。)のある信託は、当該信託がされた時から三十年を経過した時以後に現に存する受益者が当該定めにより受益権を取得した場合であって当該受益者が死亡するまで又は当該受益権が消滅するまでの間、その効力を有します。